秦野南地区・語り部運動資料

上方町の天王様
上方町長寿会 飯田常吉

昔のことである。明星部落道路端の畑(大岳院北側)に血の雨が降ったとのことである。
 その跡を埋めて祠を建てて祀り、祠を天王様と称して、現在も残されている。(現在区画整理で移動 予定)
 天王様は、畳や・伊豆・大上・中下・大下・車・梅さんの七軒で、夏病をしないようにと、毎年八月の 一ヶ月間、当番を決めて灯明を上げていたが、今から五十年前頃(大東亜戦争前)からは途絶えている。 
言い伝えによると、血の雨でなく、火の雨だという説もあるそうである。

道祖神の供物
新田町長寿会 綾部朋吉

一月十四日の道祖神の時に、ダンゴや里芋や色々な野菜の形をかたどった団子を作って木の枝に 刺すのは、昔大飢饉の時食べ物が無く、楢や櫟の実を食べて過ごしたことを忘れず、作物の豊作を 祈るものだそうです。

むじな騒ぎ
新田町長寿会 綾部朋吉

柿の実が熟すと、むじなが木の上で「オホイー・オホイー」と啼くのを、人間をからかいに来たと、人間 は大騒ぎとなる。 
昔からむじなが人に声をかけるから返事をしても後は何にも言わない。

私の見たこと
新田長寿会 綾部朋吉

一、 細田の大入道
 四月、雨の降る夜、街灯の傘に雨があたり、しぶきになって飛び散った所に光が当たるとボーッと 後光が出来、それが大入道に見えた。慌て者は驚いて逃げ帰る。
二、中丸ドンドン引
 五月のある日、親戚の爺さんが酒に酔って、橋の上で「押すなよ、押すなよ」と言いながら河の中に 入ってしまった。私は驚いてお爺さんを引き上げた。お爺さんは「河童が相撲をとろうと言って、俺は 嫌だと言うのに、川の中に突き落とされてしまった」という。
 この話は今は亡くなられた綾部朋吉さんの話を高橋が書きました。

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