秦野南地区・語り部運動資料
道祖神
新町長寿会 美濃川 好
私の子供の頃は、一月十四日の道祖祭りをダンゴ焼きと呼んでいました。
学校から帰ると、半紙を二つ折りにしたものを長くつないで「奉納道祖神」と書いて、畑の片隅にあった、道祖神の回りに立ち並べ、持ち寄った門松等に火が着けられると字がうまくなるといわれて、皆んな一生懸命でした。
その頃は、藁葺き屋根の家が多く、飛んだ火の粉で火事になることも多く、母から出掛ける時によく
注意されました。
近頃、道祖神の祭りもさびれて寂しい思いがしています。子供の成長を願う行事をまた盛り上げて
欲しいと願っています。
つるまき坂の狐
西上町老人クラブ 小林佑子
つるまき坂を上り学校道に出る。向い側に狐山が見える。 坂を上ると、ひといき土手に腰を下して
、一ぷく煙草を吸い休んだが、つかれてとろりとすると狐に化かされて、あっちこっちとさまよって困った
そうだ。
また夜遅くなると、待っていて、「お送りしましょう。」と言ったそうだ。
或る時、今日こそと坂を上がってくると、向こうの山で、白い狐が何か頭からかぶっているのが見えた。また人を化すのだと思い、これはよい所を見た。今夜は一つやっつけてやろうと、土手に腰を下ろして、煙草を吸い、口に含んで待っていると、案の定美しい娘に化けて、「おじさん、送りましょう。」と
言った。そこでいきなり、含んでいた煙草の煙を吹きかけた。すると娘は尻を端折り、あわてて山に
向かって逃げて行った。
それからというもの、化かされなくなったそうだ。