秦野南地区・語り部運動資料
お盆とみそ萩
上今川町長寿会 櫛田市郎
お盆の仏壇飾りの中に、丼に水を入れ、その中にみそ萩を浸しておいて、期間中、日に何回か、その
みそ萩で丼の水をお清めという事だろうか。
高齢者のいられるお宅、またいられなくとも、この風習を引きついでおられるお宅もあるようで、秦野、
平塚方面で、この風習が見られる。
お盆のときに庭先に辻を作るが、その辻にみそ萩がさしてあったと
いう事も聞いている。
あるお宅では、みそ萩は仏さんの花だから庭に植えてはといわれたという話しも
聞いたこともある。
水を飲みに出掛けた薬師さん
今川町長寿会 大原信男
平沢小原の薬師堂には、大人がやっと持ち上げる位いの仏足石があります。
高さは十に糎、上面は
四十一、五糎×五十一糎の自然石の凝灰岩で、表面に足あとのようなものがついています。
この石を
仏足石と認めれば、県下で唯一の珍しいものです。小原にはこの石について次のような昔話が伝わって
います。
「平沢小原には神川という川があります。村人たちは毎日何回となく水を汲んでは桶に入れ平秤棒で
かついで、家まで運んでは飲み水等に使っていました。特にお風呂の水は一パイにするにはそれはそれ
は大変なことでした。
村人は一番先に汲んだ清らかな水を毎日のように薬師さんにお上げしていました。忙しい日が続く中で
村人は薬師さんに水をお上げするるのを忘れてしまいました。
薬師さんはのどがかわいてしょうがない
ので、こっそりお堂を出て神川の水源に水を飲みにお出かけになりました。
村人は水をお上げするのを
忘れたなど気づかずに、次の日の朝早く水を汲みに行きました。
不思議なことに、水源の踏石に薬師
さんの足あとがついていました。
村人は水をお上げするのを忘れたことに気付きました。村人は深く薬師
さんにお詫びをして、この日から欠かさず水をお上げしました。
(小原 山口 実さん談)