秦野南地区・語り部運動資料
古狸の話
北町長寿会 山口義春
昔、大住群平沢村に一つお寺がありました。
住職が三日ほど留守をするので、幾さんに留守番を頼んだ。その夜、一時頃、「幾さん幾さん、酒飲み
に行こ」と雨戸をたたく音がした。でて行って見ると、だれもいない。二日目の夜は若衆を頼んだ。
夜三時頃、トントンとたたく。表へ出ると、黒いものが川の方へいく。それを追いかけると、石打場の
仙蔵さんの堀ぬきに入ったので、つかまえたら大きな狸でした。みんなで狸汁をつくり、酒をのんで
たべてしまったという。
思い出の御輿造り<
清水町老人クラブ 加藤秀雄
私達が子供の頃、南地区の南町では、七月十四日のお盆の前日、御輿造りの行事がありました。
一年生から六年生までの男の子だけの行事で、上級生が総大将で、全員が当時の部落寄合所に集まり
、上級生の指示により、毎年決められた木(モミソの木、一年中青い葉のついていた)を探し求め、枝に
提灯を付けたりして、御輿造りをしたものです。
子供等は出来上がった御輿を指差しながら、明日の天気が気になるのか、下駄など履物を高くあげ、
占い事をしたりして家路についたものです。
当日、日の落ちる頃から、担ぎ始めるのですが、揃いの服装と云うことはなく、思い思いでした。提灯の
あかりが狭い道路を照らし、「ヤッセイコーラ」と、かけ声をかけながら、また障害物にさしかかった時は、
「チンチンコーラ」と別の掛け声で部落の家庭を三日間廻り、御賽銭を頂き、それを上級生から渡された
ものです。